“感覚”こそが店を成功させる鍵 [松澤弘一郎]
28歳で帰国した松澤さんは、実家を継ぐことになります。
当時の店の雰囲気。それは、スタッフ同士が“友達”という感じだったのだそう。
ラテンのノリ、といっても、仕事は仕事。仕事が友達のように馴れ合いになってしまってはダメだと思った松澤さんは、そこにメスを入れました。
「店の女の子をやめさせちゃったりね。だから、最初はトラブルばっかりでした。だって、スペインとか南米とかふらふらしてた人間がいきなり現れてここで働きます、っていうわけだから、それまで働いてたスタッフは“この人、何なの?”って感じでしょ?」
まあたしかに……。
ぶっちゃけ、“放蕩息子”と思われても仕方ないような……というのが正直なところですよね(笑)。
でも、そんな状態をどう打破したんですか?
「言葉にしづらいな~(笑)。
でも、仕事のことで言い合いになるのは全然気にしませんでした。友達感覚で仕事してると、そういうのができなくなっちゃうんですよ。
例えばメニューを考えたときに、シェフがつくった料理に対して “おいしい”“おいしくない”を遠慮して最初にはっきり言わなければ、結果お客さんにいいものを伝えられない。そういう思いでスタッフと真剣に関わっているうちに、だんだんわかってくれるようになって、ついてきてくれたんですよね」
そして、松澤さんが29歳のときに、2Fがオープン。
第1回でも書きましたが、maruは飲食関係が偵察するぐらいの人気ぶり。その反響をどう考えているのか、松澤さんに尋ねてみました。
「ん~。でも、“どこにもない店を作ろう”と思ったわけでもないし、他の店のことはまったく気にならないですね」。
松澤さんには、無意識に、「約2年に及ぶ遊学生活で得てきたものは、店に何度か足を運んだぐらいで盗めるものではない」という思いがあるのかもしれません。その2年だけじゃない。大学のアルバイトの時代から培ってきたものも松澤さんに大きな影響も与えていますし。
「もともと、スペインや中南米の遊学に家族が協力的だったのも、オヤジの“商売は数字じゃなくて『感覚』だ”っていう考えがあったからなんです。“向こうで街の感覚をつかんでこい”と」。
松澤さんは続けます。
「店を作るとき、大体“ターゲットは何歳ぐらい”とか言いますよね。うちのいいところはそういうのを考えないところかな。
南米なんかもそうなんだけど、おじいちゃんがいて、若い人がいて、みんなでワイワイと飲んでる。うちもね、老若男女問わずお客さんが来てくれる。“maruにくるお客さんは、みんな楽しく飲んでるよね”ってお客さん自身にも言われるんですよ」。
値段に対しても、松澤さんは自分の体得した『感覚』を重視しています。
「“客単価はいくら”とか、“価格は原価の3倍だ”とかいろいろありますよね、決まりごとみたいなのが。でも、うちでは、シェフに”これどうですか?“とメニューを出されてから”680円ぐらいかな。オレだったらそのぐらい払う“とかっていう感じに決めてるんですよ」
“お客さんが楽しく飲めて、結果おいしくて安ければもっといいでしょ?”と松澤さん繰り返しますが、たしかに、店の雰囲気はラテンそのもの。でも裏方は、なぁなぁの関係では仕事をしない。とはいっても、スタッフはみんな楽しそう。お客さんが楽しめるものを提供している、という気持ちがそうさせるのかもしれません。松澤さんに言う“感覚”とは、いいところでラテンらしさをチョイスすること。スタッフにもそれが伝わっている感じ。
この分だと、3階も常に満員状態になりそうな予感ですね。そうしたらどうします?
「でも、ほかに店を出すつもりはありません。人に仕事を任せて、自分の目の届かないところで店をやりたくないんです。例えば、音楽ひとつとっても、空いてるときは静かな曲を、盛り上がってるときはサルサとか激しい曲をかける。そういうことが、ほかの人間ではなかなかできないんです。その時々で店の雰囲気は変化してますから、それを感じて、お客さんが楽しめる空間を作ることが大切なんですよ」。
言葉やマニュアルにはできない店作りの“感覚”。それこそがmaruの最大の強みだということが松澤さんにはわかっているんでしょう。
maruが放つ独特の雰囲気、あなたも一度体験してみませんか?
ちなみに、お店のスタッフはかなりレベルの高い美男美女ぞろいですよ。
「だって美人とじゃなきゃ、一緒に仕事したくないじゃないですか(笑)」
最後まで陽気な松澤さんでした。
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都合の悪いコメントは消したんだ。( ^ω^)
by ふーん (2006-10-13 10:15)
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