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『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』ができるまで~映画監督の仕事を追う~ [深作健太]

撮影現場に入ってしまえば、“用意、スタート”と、“OK、NG”のジャッジをするだけが映画監督の仕事といったが、では映画監督の仕事は一体どこにあるんだ?





「そうですな。例えば、『スケバン刑事』に関して言いますと、松浦亜弥さんでやるらしいと酒を飲みながら話題が出て“面白そうだな”とか、単純に“やりたいな”とか言っていたんですね。そうしたら“深作健太で”とご指名をいただいて、松浦さんでやる、ということになったわけですわ。依頼が来て、そっから自分はもうイメージをしだすわけですよね。で、 “『ケータイ刑事』もありますしね”、生意気にも、“単なるアイドル映画にしたくありませんね”とか、いうわけです」。


もちろん、プロデューサー側も“『バトル・ロワイアル』みたいな過激なスケバン刑事にしてほしい”などという案を出してくる。それらのイメージを統合して、あややをどう麻宮サキで演出していこうか、と考え出す。
どうやったらかっこいいのか。
例えば、スカートは長いのか短いのか、性格は優しいのか強いのか。
今までの斉藤由貴さん、南野陽子さん、浅香唯さんとどうちがうのか。
プロデューサーとみんなで話し合うのが企画段階だ。


4代目のあややはこうありたい、と脚本家にいろいろ思いを伝えていくと“じゃあ、こういう話にしましょう”となる。
今回は、“スケバン”という言葉そのものが焦点となった。


「現代でスケバンて、いませんよね。“スケ”も“番長”も、両方死語で、そもそも今の子には言葉が通じない。“テメーら”とかいう口の悪さも同じ。かといって、“無理無理”とか、“びみょ~”とか話すのも違うのではないかと。
現代語じゃない、ちゃんとスケバン言葉を使うあややであるためには、どうしたらいいか、どうやったらそうなるか、と考えていったら、脚本家の丸山昇一さんの発案で、“じゃあ、アメリカ帰りってことにしましょう”、ということになりました」。





なんでアメリカ帰りでスケバン言葉かって? それは観てのお楽しみ。


この段階で今度、企画からぐっとストーリーとキャラクター作りの細かい話になってくる。友達は誰か、お母さん誰か、など。


「それと、スケバン刑事って、代々相棒がいるんです。蟹江敬三さんとか萩原流行さんとか。今回の相棒は誰か、竹内力さんが演じるならどんな男かと形作って行く。
で、キャスティングが始まる。そのジャッジをいちいちしていくというのが監督の仕事でもあって、楽しいところでもあります」。


そうして、シナリオが出来上がり、配役も決まる。
では、アヤヤはどんな格好をしているのか、具体的に衣装を考えたり、小道具を考えたりする。


「ヨーヨーだってそもそもどんな形をしているのか。昔のTVのものと比べて、じゃあ現代のヨーヨーはどんなデザインならカッコイイのか考え始める。
それからヨーヨー指導の方が来て、“こんなワザできますよ”という話を聞く。そこから、“こんなワザできるんだったら”と、今度演出のプランを考え出したりするようになっていく」。





この段階で、やっと、カメラマンだったり、照明だったりという現場のスタッフがやっと集まる。
そしてシナリオに即して、どこでロケするか、ロケハンにまわって、場所を決めていく。


「現場に立つと、絵をイメージします。例えば、オープニングの渋谷の交差点のど真ん中だったら、どう撮って、どう事件を処理するのか。どっからみたらあの交差点がいちばん面白いかなんて、あっちゃこっちゃからみたり。それで、カメラのポジション決めてったり、撮り方を決めてったり」。


ロケハンが固まると、今度は役者さんの指導に入る。


「今回は美勇伝も出演してるんですけど、石川梨華ちゃん以外の二人(三好絵梨香・岡田唯)は映画が初めてだったので、本読みといって、セリフ読む訓練からはじめました。石川ちゃんが使うヨーヨーはすごく難しいものだったので、本読みよりも、役作りのために、むしろヨーヨーの練習が必要だった。あややだったら、ワイヤーアクションがあるので、宙吊りになる練習をさんざんやるわけです」。





それでクランクインを迎える。
企画が持ち上がったのが10月。脚本ができがったのがお正月。10月~1月ぐらいまでが企画の段階。
そして、1月にあややと初めて会い、2月12日のクランクインまでの間、時間さえあれば、トレーニングとか、衣装合わせをやったりしていく。
今回はスケジュールは約1ヶ月と決まっていたので、3月19日のクランクアップまで撮影を行う。





「撮影現場に入ってしまえば、もう、そこまでにいろいろなことが積みあがっていますから、それであとはどんどんスケジュールどおり、こなしていくわけです。それが、雨降ったり、監督が遅刻したり(笑)、予想外のことがいろいろあって、現場のスケジュールがドンドン難しくなっていく。それを、カットを少なくしたりして、つじつまを合わせて、撮っていくと」。


監督の仕事は、当然撮るだけでは終わらない。撮り終わったもの通常2週間~1ヶ月かけて編集。
さらに、編集が終わったあとにCGと音楽づけ。こういった、細かい仕上げの作業にまた1ヶ月ぐらいかかる。


「今回で言えば、たとえばCGでヨーヨーを書き足してくわけです。並行して、全部の効果音作ったり、音楽作ったりしたものをミックスして。完成したのは6月ぐらい。だから合計8ヶ月ぐらいの作業。これが監督業です」。


でも、このスケジュールでも、時間が贅沢にあるほうだというから驚きだ。
そして、とうとう、明日9月30日、あややが四代目麻宮サキを襲名する!


2006-09-29 11:31  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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