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目標は、父・深作欣二~深作健太が目指す監督像とは?~ [深作健太]

近年、若い監督は増えてきている、と健太監督は言う。


「ある世代、例えばうちの父だったり、もっと上の方だと、黒澤明さんだったり、今も現役ですけど、市川崑さんだったり。巨匠の時代というものがあって。
だからどうもね、映画監督っていうと、怪しい帽子かぶって、サングラスして、というイメージがあったと思うんですけども(笑)。そういう人たちがね、お年になったりして、ある世代交代があって」。


ミュージックビデオやPVから、あるいは俳優さんが、CGゲーム作っている方がなど、異業種監督も増えてきている。




「そもそもの、なんでもありなんですけどね、映画っていうのは。
ただ、今は日本映画界自体が、その監督とスタッフの経験が逆転している。そういった意味で苦労されてることは多いと思いますよ」。


昔のように、みんなで1つの現場で、一緒に学んで進んできて、助監督やって、監督になるという方がすごく少なくなっている。そのため、映画監督とスタッフが、離れた仕事になってきているという。


「僕自身は、子供の頃から撮影所で遊んできましたし。撮影所って、風呂もありますし、食堂もありますし、畳の部屋があってそこに寝泊りしているおじさんたちがいたりね。時には監督自体も寝泊りしてますし(笑)。ホント合宿所みたいなもので、そこで生活してるんですよ。そういう人たちと一緒に映画をつくっていくのが楽しい。いわゆる活動屋っていうか、そういうのが映画っていうものの楽しさのひとつだったんですけれども、だんだんそうじゃなくなってきているのは残念だなと思います。
そういう意味で自分が習ってきた、撮影所での仕事の仕方を受け継いで、これからも撮影所と一緒に歩む監督でありたいと考えています」。

よく、“監督を見れば現場がわかる”といわれているそうだ。


「オヤジの『深作組』の色っていうのは、監督がいちばん元気で、踏ん張っていて、みんなを引っ張ってっている、という感じだった。
でも引っ張るといっても、オヤジはよく“お祭の音頭とりだ”と言ってましてね。みこしはかついでいるわけでもないし、かつがれるのも違うし、わっしょいわっしょいといちばん声を出していれば、あとは現場のみんなが動かしていってくれるものだ、とね。ホントそう感じます。こちらは用意スタートと、OKかNGか言うだけで、っていうのがホントの理想の監督の仕事だと思います」。





お父様が巨匠ということは、健太監督にとって重荷にはならないかと尋ねると、“むしろ、目指している対象があって、幸せですよ”という答えが返ってきた。


「『バトル・ロワイアル』というのはいろいろな意味で幸福な現場だった。何ものにも縛られず、好きなことをやれましたし、結果も大勢のお客さんに見ていただけたるついでにいろんな賞ももらえて、と。それって、僕にとってもはじめてプロデュースして、楽しい仕事だった。
そのとき、一緒に仕事をしたオヤジをみて、“これが40年間、オヤジが監督として登ってきた道なんだ”と思いました。
自分は、たまたま親の七光りというか、幸運にも、その位置にいきなりスタートで立つことができた。でも、俺はこれから40年間かけて、オヤジがここへ来た道を、この階段を昇るんだと、とひしひしと感じたんですよね」。


そして、その階段を昇り始めた健太監督。
「オヤジが34歳のときに撮ってた作品と、今僕の撮った『スケバン刑事』を比べて、引け目は感じません。
でもじゃあ、オヤジが42歳のときに撮った『仁義なき戦い』を、今のお前がこのまま階段を昇っていって、同じようなレベルの作品が撮れるか、というと、これは、今は自信がないんです。“こうなりたい”という目標ではあるんですけどね。
父が42歳のときにたどりついた位置、人間の見方、作品のクオリティ、いろいろありますが、自分がその時にどういう42歳になっているのか、今と変わらないんじゃダメですし。そういう意味ではずっとオヤジの背中を追いかけていくんだろうなと思いますね」


父・欣二監督は約60本の映画を撮っている。映画の本数自体もちがうため、今の映画監督というのは、30本も撮れないでという。


「これからずっと映画監督でいられるかどうかなんてわからないし、何本撮れるかどうかもわかりませんが、『バトル・ロワイアル』で仕事した深作組の仲間達や、一緒に仕事した俳優達、『スケバン刑事』で出会えたあやややスタッフ、いろんな人達と知り合って、みんな揃って同じ階段を上っていきたいという思いはあります。
それはもう、親父の階段じゃない。自分の階段なんです。そういう想いで、これからも一本一本しっかりと撮っていきたいです」。


まだ『スケバン刑事』が公開になったばかりだというのに、すでに来年には、押井守氏が脚本の『エルの乱』のクランクインがひかえているという。
そして、父・欣二監督と企画していて撮影できなかった映画がまだまだいくつもある。
今後の日本映画界を支えていく監督の一人として、目が離せない。


2006-10-13 12:44  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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