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桑原慶 ブログトップ

今後の展望 [桑原慶]

■過去記事
・フットサルカフェ「KEL」訪問
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-05
・会社を辞めてから
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-07
・フットサルカフェ「KEL」ができるまで
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-09
・KELについて
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-12
・趣味は「自分が成長できること」
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-14



「アイデアだけはバカみたいにいっぱいあるんです。それを実現するに当たって、どうまとめて誰につくらせるか、ということを考えますね。それと資金面。資金を産みながら新しいことに挑戦していくので、どれだけスマートに物事を進められるかが重要になってくると思うんです」




桑原さんが目指すビジネスモデルは、当初の目的どおり、カフェだけにとどまらず、フットサルに関するあらゆる方面に拡大しつつある。


「来年の9月に、フットサルのJリーグにあたる全国リーグが発足するんです。枠は8チーム。現在、日本でプロのフットサルチームは1つだけで、あとはサッカー協会関連のチームがいくつかが当確じゃないかといわれています。でも、フットサルでビジネスをする以上、そこに名乗り出ないのはもったいないですよね」






KEL(=株式会社ファンタジスタ)もフットサルチームを持っていて、全国優勝した経歴もある。8チームの残りの枠に入ろうと練習に余念がない。監督もブラジルから呼びよせた。
「チームのメンバーやゼネラルマネージャーなどが、自分が出したい結果を出せるようしてあげたい。そのための苦労はいとわない、という気持ちはあります。」


桑原さんは続ける。
「もちろん、僕ひとりの力ではここまで来られなかった。チームを長いこと応援してくれているサポーター、常に試合会場に脚を運んでくれる選手の親御さん、ユニフォームのサプライヤー(asics)、KELとは別系列のフットサルコートのスポンサーには本当に感謝しています。今のフットサルは競合うんぬんではなく、関わっている人たちが協力してシーンを作り上げている感じがします」。





また、チームを勝利に導くための、桑原さんなりの哲学がある。
例えば、パス1本相手の足元につけるという行動。それは自分の狙ったスピードで、狙った位置に、狙ったタイミングで蹴るということ。そのためには自分の体をどうコントロールし、相手との意思疎通をどう図っていくかと考える必要がある。勝利はその積み重ねだという。


「“勝つ”というゴールに行き着くためには、自分が何をすべきか、仲間とどうやって調和していくか、それを選手全員およびスタッフ全員が考えることが必要とされます。選手にスキルはもともとあるから、あとは勝つために何をすべきかと“考える力”を引き出すんです。そういう思考力とメンタリティを育てていくことで、スポーツでもビジネスでも結果を出せるんだと思います」


チームを育て上げること。それを突き詰めていくと、教育につながる。そうした“教育”という観点には個人的に高校生の時点から興味を持っているという。まだ漠然としたものではあるが、それをビジネスとして何らかの形にしたいと考えているそうだ。





プロリーグだけでなく、KELから発信する大会やイベントも考えている。
「プロリーグができる前に、スペインからチームを招いて大会を開きたいと思っているんです」。スペインにはフットサルのプロリーグがあり、フットサルがもっとも盛んな国だといっていい。本場のフットサルチームを招くことで、日本のフットサルもより活気づくことだろう。桑原さんのフットサルへの情熱を感じる。


そこでもおもしろい縁が生まれつつある。本社のあるドイツでのミーティングから帰ってきたウールシュポルトのスタッフから「スペイン代表の元プロ選手がアドバイザーとしてつくことになった」との報告を受けた。
「後日談なんですが、そのアドバイザーと、僕たちが招こうと思っていたスペインのチームのゼネラルマネージャーが同一人物だったんです。ただならぬ縁を感じましたね(笑)。今度会いに行こうと思っているんですが」。





桑原さんの見ている目線の先には常に“世界”がある。
フットサルのプロリーグができれば、フットサルの人気はさらに増すことだろう。
そのとき、桑原さんの視野には何が入っているのだろうか。
また会いたい、と思わせる人物だった。


2006-06-16 16:01  nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
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趣味は「自分が成長できること」 [桑原慶]

■過去記事
・フットサルカフェ「KEL」訪問
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-05
・会社を辞めてから
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-07
・フットサルカフェ「KEL」ができるまで
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-09
・KELについて
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-12



実は、約1年前に別の媒体で桑原さんを取材したことがある。
今回再びお会いして、「顔が変わった」と感じた。
もちろん、1年で顔の造作が変わるわけはない。“顔つき”や“表情”が変わったのだ。





前回は、KELがオープンしてようやく1年というところで、“おぼれそうになりながら泳いでいる”とご自分でも話していた。
「店の経営状態は、一年前とそう変わっていませんよ」と笑うが
その笑顔のなかに強さがある。


「課題は変わっていないとけれど、1年前はそれを“うわー大変だ”と思ってたました。今は“やりがいがある”と感じるようになったんですよね。
会社は、良くも悪くも自分自身。表現はできた、でも数字的な結果が伴わない、となれば自分のせいですから。資金繰りのためだけに働く、という状況は変えたいんです。それには自分がしっかりした経営者にならないといけない。
だから最近は、店をスタッフに任せて、経営についてより深く勉強していますね。自分にとって有意義な時間を過ごすことが毎日の仕事だと思っています。頭の中は常にオンの状態。自分が成長できることすべてが、今の“趣味”みたいなものです」。






今は、“自分自身を育てる人たち”と多く接している。そういうなかにいると、必要なときに自然に情報が入ってきたり、人とのつながりができる、と桑原さんは語ったが、彼のアンテナがあらゆる方向に伸びているからだろう。人との食事も情報を得られる場として大切にしているし、ときにはコンビニでギャル雑誌を立ち読みして情報を得ることもあるという。


ただ、彼は決してその情報に流されることはない。
「ダサいことはイヤなんです」と、取材中何度も繰り返したが、それは彼のスタンスそのものだろう。


“ダサいこと”を嫌う人は当然多い。
ただ、その内容は漠然としていて、非常に感覚的なものだったりする。
でも、桑原さんは違う。


「デザインセンスとか、洋服のセンスとか悪いとか、そういうことをいうつもりはないんです。自分から発信し続けていれば、いつかそれが形やポリシーになるときがくるから。
だけど、情報を咀嚼できずに、そのまま鵜呑みにしてしまう、例えば流行っているものを取り入れていないと不安でしょうがないというような姿勢を“ダサい”と感じるし、“自分はそうありたくない”と思うんです」






カフェの立ち上げ、イベントの企画、ウールシュポルトへの企画提案、さまざまなことを行っていく際に「自分なりに“カッコイイと思えるもの”を持っていたことは強みだった」という。
何度もつまづいたら、なにかに頼りたくなってしまうものだが、頼るべきものが“自分自身の価値観”だったのだ。


将来や、周囲の評価が見えないなかで、“自分がカッコイイと思えるもの”を、流行に流されずに貫いてきた。そして形になっている。
その姿勢が、今の印象を作っているのだろう。
その人の生き方は、顔にしっかりと刻まれていく、という言葉がリアリティを持って浮かび上がった。


2006-06-14 15:12  nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
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KELについて [桑原慶]

■過去記事
・フットサルカフェ「KEL」訪問
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-05
・会社を辞めてから
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-07
・フットサルカフェ「KEL」ができるまで
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-09



「カフェをオープンさせるといっても、ノウハウが全くないわけですよ。会社設立前の2002年は内装の参考に結構カフェを回りました。その中のひとつに“here we are marble”(以下marble)というカフェがあって。お茶をしながら図面を見ていると“うちの店長、サッカー大好きなんですよ”と店員さんが声をかけてきてくれて、気がつくと店長が隣に座って会話に加わっている、という状態でした。初めて行ったお店なのに(笑)」。





桑原さんたちは、最初は自分たちで“好きなように”カフェづくりをするため、バリスタセミナーなどに通っていた。疲れると客としてmarbleに通うようになり、当時店長だった三浦武明さんにいろいろ相談を持ちかけていた。三浦さん自身もサッカー、フットサルが好きで意気投合。最終的には「トータルプロデュース」という形で、お願いすることになった。


marbleはカフェ好きの人には一目を置かれる存在。
http://www.marbleweb.net/cafe/index.html
KELの内装も、marbleの内装を手がけたデザイナーにおまかせした。
「造作はシンプルなんですけど、モノをおいただけで全部かっこよく見えちゃうデザインなんですよ。」
と桑原さんも満足げだ。
DJブースなどもあり、イベントなども開催している。





カフェに入るとすぐ、フットサルグッズを扱っている一画がある。
「カフェをつくる当初から考えていたんです。普通ユニフォームをつくるときは、だいたい代表者がみんなの考えを取りまとめて、一人で業者とやり取りしていくんですが、せっかくならコートでみんなが集まったときに、自分たちのチームのユニフォームを相談しながら、実際にモノにふれてつくれたりしたらいいじゃないですか」。






桑原さんは “フットサルにまつわるもの、すべてを扱いたい”と考えていたので、グッズの取り扱いも、カフェの構想時点ですでに視野にあった。


このグッズ、ドイツのuhlsport(ウールシュポルト)というメーカーのもの。
http://www.rakuten.co.jp/kel/767392/
ウールシュポルトは、実はジャマイカのフットサル代表チームのスポンサーをしている。


縁とはどこにあるかわからないものである。
桑原さんのパートナーが、フットサル教室に通っていた。その教室を開催していたチームのスポンサーがウールシュポルト。日本に展開しはじめたところで、どういうものが売れるのかというのを悩んでいたそうだ。






「ウールシュポルトの商品にすごく魅力を感じて、“こうしたらいいんじゃないか”と提案してみたんです。僕たちは選手やサポーターに触れる機会も多い。どういう人が何を欲しがっているか、実際使ってみてどうなのか、というのがよくわかりますし。その延長線上で今は企画提案など、コンサルタント的なことをしています」


ワールドカップ開催に合わせて、各国のマークの入ったゴールキーパー用のグローブも販売中だ。





ちなみに、ワールドカップ中、KELでは全試合、完全生放送。
店内には100インチもの巨大スクリーン、予約席が60名。当日席も用意されている。
「せっかく来てくださったのに、“満員で入れない”というのでは申し訳ないので、スタンディングでの観戦も用意しています」。





ワールドカップもはじまったばかり。
みんなで熱い夜を過ごしたいときはぜひKELに足を運ぼう。
スタジアムさながらの興奮を味わえること間違いない。


2006-06-12 15:25  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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フットサルカフェ「KEL」ができるまで [桑原慶]

■過去記事
・フットサルカフェ「KEL」訪問
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-05
・会社を辞めてから
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-07



フットサルが一般的に広まったのは、前回のワールドカップ前後だといわれている。
桑原さんがフットサルをビジネスにと考え始めたのが1999年。先見の明があったといえるだろう。
しかし、それを軌道に乗せるには、投げ出したくなるような出来事も多々あった。





「会社にいた時代に、優秀なスタッフに囲まれ“表現する”ということを勉強させてもらったと思います。ただ、ゲームはこもりきりで製作しますし、チーム内でのコミュニケーションも少なかった。一般的に社会に出たら学ぶような営業だとかビジネスだとかは、まったくわからないままのスタートでした。資金をどう集めるかもわからないし、ビジネスモデルという言葉さえ知らなかった。だから苦労が絶えませんでしたね」





“どんなものが売れるか”についてのアイデアはあっても、それを形にすることができず、まずは、フットサルコートの空いている場所でカフェをやらせてくれるところを探そう、ということになった。


まず、最初に訪れたのは、現在のコートのオーナーでもある世田谷のコートだ。
2002年4月、クラブハウスの2階の空きスペースでカフェをできないかとプレゼンテーションをし、大筋の了解を得た。
コーヒー豆のメーカーや酒屋に会ったり、内装の見積もりを取ったり、有限会社を立ち上げたり、テスト販売を行ったり、など着々と物事は動いていたかに見えた。


が、7月、諸事情によりこの案件は頓挫。
ぎりぎりのところでやっていたにもかかわらず、成功を目前に計画はいったん潰えた。





桑原さんが「フットサルカフェをやりたい」といっている、という話は、フットサル関係者のなかでも広まっていた。そのため、さまざまところのフットサルコートのオーナーから「うちでやってくれない?」と声をかけてくることも多かったそうだ。


だが、実際はカフェではなくて、露店みたいな形式で飲み物を売るようなもの。自分たちの理想としているものと現実との違いに悔しい思いをしながらも、食い扶ちを稼がなければと幾度もそういう仕事をこなした。河原でウーロン茶のペットボトルを売ったこともあるという。





そうこうしているうちに、再びチャンスはめぐってくる。
「地元の友達が静岡から東京に進出する会社の社長を紹介してくれて。夢を語ったら、“ビジネスとしては具体的なプランが無くて最悪だが、目がいいから”と3社が出資してくれることになったんです」
11月には株式会社になり、出資者の関係で、都内某所にショールーム付帯の簡易的なカフェを出店することになった。


ところが、本体のショールーム自体の集客ものびず、客が入らない。後から知ったのだが、そこは飲食店ができてはつぶれていく飲食不毛の地。
「リサーチ不足や、仕事をうける際の経営判断の未熟さも大いにありますが、フットサルでカフェをやりたいという志を掲げてるのに、フットサル以外のことをやっていて、しかも売り上げも伸びないというのは、すごくつらかったですね。どうせつらいならフットサル関係のことでつらいほうがいいと思いました」





寄せては返す波のように、現れては消えていくチャンス。そんな逆境のなかでも、「仲間がいたから“引き返そう”と思ったことはない」という桑原さん。なんとかフットサルの方向にもって行きたいという気持ちは高まっていた。


その年の12月、とうとうフットサルに近づく仕事が入ることになる。
「最初の世田谷のフットサルコートのオーナーが横浜にコートを出すことになったんです。拡大路線だったので、ほかにもコートをつくって。その運営をやらないかと持ちかけられました。カフェをやるという話はなかったのですが、とにかくフットサルに関わりたくて、飛びつきましたね」。


2003年の初頭には、フットサルに関わる仕事が軌道に乗り、“次はカフェだ”と意気込んだ。


そして、2003年9月、コートのオーナーが現在の物件を見つけ、11月にコートをオープン。資金的にはむずかしかったが“このチャンスを逃がす手はない”と、翌年1月にフットサルカフェ「KEL」をオープンした。
http://kelnews.exblog.jp/


次回へ続く・・・


2006-06-09 15:23  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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会社を辞めてから [桑原慶]

■過去記事
フットサルカフェ「KEL」訪問
http://blog.so-net.ne.jp/dir_man/2006-06-05



「会社を辞めた理由ですか? 直接的な理由は彼女と別れたことなんです」
少し照れた表情。でも、口調はしっかりとしている。





「彼女とは結婚を考えていたから、ゲームという世界のなかで地盤をつくり、組織の一員としてお金をもらうことを考えていた。でも、別れるということになってその理由がなくなってしまったんです。
彼女とは8年間付き合っていて、そのうち6年は一緒に暮らしていましたから、“彼女がいない”ということ以外が何も変わらない生活、というのは考えられなかった。女々しいですよね(笑)」


とはいいつつも、実はこのとき、桑原さんは新しいことをはじめるチャンスを感じていたとも言う。





「すごいショックだけど、ここを乗り越えて次のことに行くチャンスなんだな、と。矛盾した気持ちが同時に起こっている、その感覚は今でもはっきり覚えています。だから、自分に踏ん切りをつけたくて、別れ話が出た翌日に、すぐ辞めると会社に言ったんです。会社の上司も理解があって、“1ヶ月分、しっかり有給消化しろよ”と」。


その1ヶ月は彼女との“エピローグ”だった。


「8年間も付き合っていると、“別れよう”って言ってすぐ次の日に“さようなら”っていう気持ちにはなれなかったんです。だから、最後の1ヶ月はちゃんと付き合おうって。そのあとはほんの数回、連絡をとっただけです」


二人の別れには必要な時間だったのだろう。
もちろん、桑原さんが次のステップに進むためにも、非常に有意義な時間だった。
2002年3月、彼女との本当の別れを迎え、新たなる世界で活動を始める。





といっても、仕事を辞めてから、フットサルカフェに興味がわいた、というわけではない。
「構想としては、会社を辞める前からあったんです」。


桑原さんはサッカーで有名な静岡県出身。
本格的にサッカーをやったことはなかったが、大学時代、地元から東京に出てきた仲間と、3ヶ月に1回サッカーをしていたという。
その仲間たちが地元で就職を決め、東京を離れていく頃、会社の同僚に誘われて、フットサルをはじめた。これがやってみるとおもしろい。1年もすると、週に3、4回ペースでプレーするほどのめりこんでいた。


「“飲みに行こうぜ”と声をかけても集まらない連中が、フットサルだと集まってくる。このフットサルの魅力は、ビジネスとしてもおもしろいと思いました。
プレーした後は居酒屋とかファミレスで話しをしてもりあがるんですが、店がなかなか見つからない。だから、プレー後にすぐ飯が食べられるような場所があったらいいなっていうのもあって。自分がプレーヤーとして満たしたいニーズも感じたわけです」





そこに、もともと持っていた“表現したい”という気持ち。それらがすべてあいまって、高校時代の友人と二人で、“フットサルカフェ”というコンセプトで進めていこうということになった。
当時は仕事を辞めるということは考えてなかったため、仕事と平行して動いていたという。


そして、彼女との別れ、退職。
機は熟した。


次回へ続く・・・


2006-06-07 14:46  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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フットサルカフェ「KEL」訪問 [桑原慶]

5月24日晴天。14:40南砂町集合――。
一つ手前の駅、東陽町で待ち合わせしておくべきだった……。
南砂町は地下鉄東西線の駅なのだが、快速に乗ってしまうと、東陽町の次はあっという間に、わざわざ千葉県の「浦安」まで運んでくれてしまうのだ。
まんまと乗り過ごして、浦安から急いで戻る。





南砂町の駅を降りると、編集者が駅前のコンビニから出てきた。
コンビニがあってよかった……というぐらい、南砂町の駅前はガラーンとしている。何もない住宅街。
南砂町東陽町と南砂町の間をつなぐ明治通りを歩いていると、突如として人工芝のコートが現れる。青い空との相性は抜群だ。
コートに併設されて幼稚園とフットサルカフェ「KEL」(ケル)がある。







「組織のなかの一員ではなく、“自分からなにかを発信したい”“なにかを表現したい”という思いがずっとありました。その“なにか”がアートなのか、ビジネスなのかわからないまま、ゲーム業界に身をおいていた、という感じです」というのは、KELのオーナー、桑原慶さんだ。





桑原さんは今から4年前まで、ソニーコンピュータエンターテイメントでゲームプランナーをしていた。


最初に担当したのは『ICO』というゲーム。
頭に角を持って生まれた少年が、それ角のために生け贄として「霧の城」に連れてこられる。しかし、閉じ込められていた棺が偶然にも開く。その場から逃げ出し、階段を駆け上がると、その先で囚われた少女と出会う。少年は少女の手を引き、城からの脱出を試みる……というストーリーだ。


http://www.i-c-o.net/main/index.html


「『ICO』は、爆発的にヒットしたわけではないのですが、当時、動きや空間、光などで魅せる、非常に芸術性の高いゲームでした。それに、架空の国の物語で、ストーリーにも膨大なバックグラウンドがあった。ゲームを終えた人に静かな感動を呼び起こすゲームです。僕はあまり人のことを“天才だ”と思うことは少ないのですが、このゲームのディレクターの上田文人さんは天才だと思いました」


桑原さんはそのストーリーやステージのアイデアを考えたり、ゲーム中の架空の国の言語をつくったり、プログラマーやデザイナーとの間に入ったり、といった仕事をしていた。
時には、ゲームの説明書を書くこともあった。操作説明などもゲームのタッチにあわせ、物語調に書かれている。


作家の宮部みゆきさんが『ICO』の大ファンで、その小説を出版している。その本の冒頭の一節


――いつだかわからない時代の、
      どこだかわからない場所でのお話。


宮部みゆき『ICO―霧の森―』(講談社)より


は、桑原さんがゲームの説明書に書いた部分だそうだ。


ICO  -霧の城-

ICO -霧の城-

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/06/16
  • メディア: 単行本


桑原さんの創造性は、ゲーム業界で、どんどんと培われていった。
が、その完成を見ると同時に、彼は会社を辞め、別の世界へと羽ばたくことになる。

次回へ続く・・・



2006-06-05 19:12  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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